イラオ火山灰層観察施設

伊良尾火山灰層観察施設
山口県阿武町福田上・萩市弥冨下
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伊良尾火山の生い立ち
Eruptive History of Irao Volcano
阿武火山群
萩から阿武にかけての火山群は、現在から約200万年前から約1万年前まで活動していました。これらは「阿武火山群」と呼ばれ、100km²もの範囲に約40もの小さな火山が点在しています。伊良尾山はその中でも最大級の火山であり、約40万年前に活動しました。 火山群の多くは、ドーム状の「溶岩ドーム」や、すり鉢状の火口を持つ「スコリア丘」など、多様な火山の形を見ることができます。伊良尾火山は、噴火によって大量の溶岩を流し出し、周囲の谷を埋め尽くしました。溶岩は現在の田万川沿いに流れ下り、海岸線まで到達しました。このとき形成されたのが、畳ヶ淵などの柱状節理が見られる地形です。
空から見た伊良尾火山
伊良尾火山は、かつての田万川やその支流の谷を溶岩が埋め立てて、平坦な地形(溶岩台地)を作りました。その後、川の侵食が進み、溶岩で覆われた部分が周囲より高い台地として残る「地形の逆転」という現象が起こりました。 現在の伊良尾山山頂付近には、スコリアと呼ばれる火山のしぶきが積み重なった「スコリア丘」が見られます。
阿武火山群の火山の形
伊良尾山(スコリア丘): 山頂付近に見られるすり鉢状の地形。
笠山(スコリア丘・溶岩台地): 萩市にある最小クラスの火山。
姫島(溶岩ドーム): 海上に突き出た独特の形。
田万川に流れ込んだ溶岩流
伊良尾火山から流れ出した溶岩は、当時の川の谷を埋めながら数kmにわたって流れ下りました。冷え固まる際に規則的な割れ目(柱状節理)が生じ、それが現在、畳ヶ淵などの景勝地として観察できます。
スコリア丘と火山弾
噴火の際、ガスと共に噴き上げられたマグマのしぶきが、空中で冷えて固まったものが「スコリア」です。また、大きな塊として飛んできたものは「火山弾」と呼ばれ、紡錘形やパンの割れ目のような形をしているのが特徴です。
火山の恵み
火山活動は、肥沃な土地や豊かな湧水をもたらしました。道永の滝の湧水も、伊良尾火山の多孔質な溶岩層が天然のフィルターとなり、長い時間をかけて濾過されたものです。
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伊良尾火山の噴火のはじまり
水蒸気マグマ噴火でできた地層を火山礫・火山灰が降り注いでできた地層がおおっている
Irao volcano started with phreatomagmatic eruption. The deposit consists of small particles of the country rock and the basaltic magma, highly fragmented when rising basaltic magma interacted with groundwater. Well-sorted basaltic fallout lapilli and tuff layers from eruption clouds covered the deposit.
解説本文
今から約40万年前に、この地域の地下に玄武岩マグマが上昇してきました。熱い玄武岩マグマは地下水に触れて、マグマだけでなく大地をつくっていた約1億年前の凝灰岩も粉々に砕く大爆発をおこしました。そして、マグマや凝灰岩の破片を噴火口の周囲に積もらせました。このような噴火は水蒸気マグマ噴火と呼ばれています。
その後、この噴火でできた火口では、マグマのしぶきを噴水のように噴き上げる噴火(ストロンボリ式噴火)がおこりました。さらにマグマが急激に粉々にくだけたもの「火山灰や火山礫」を、およそ数千メートルの高さまで勢いよく噴き上げる噴火をくりかえしました。大量に上空へと運ばれた火山礫や火山灰(噴煙)はやがて水蒸気マグマ噴火でできた地層の上に降り積もりました。
萩・阿武の大地の土台はアジア大陸の破片ーアジア大陸の分裂
1億年前の日本列島の位置: 約1億年前、萩や阿武(日本列島)が北アジア大陸の東の端(今の朝鮮半島の東)にあったころ、はげしい火山噴火がおこり大量の軽石や火山灰を降らせました。この軽石や火山灰が固まってできた地層が、1億年前の凝灰岩です。
1,500万年前の日本列島の位置: 約2,200万年前から1,500万年前の間に、アジア大陸の東側の東が割れて、その一部が南へ移動し萩や阿武(日本列島)の骨組みができました。そして、割れてひろがったところに水がたまって日本海になりました。

有難い説明看板その3
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噴煙から降り注いだ火山礫や火山灰層の上に流れてきた溶岩流 / 溶岩流はすぐに火山礫や火山灰層におおわれてしまった
Fallout lapilli and ash formed the well-sorted layers, mantled irregular topography. Pahoehoe lava covered the layers and was rapidly capped by the new fallout lapilli and tuff layers.
【解説本文】
噴煙から降り注いだ火山礫や火山灰層の上を溶岩流がおおいました。溶岩流は伊良尾山のスコリア丘から流れてきたものです。溶岩が冷えて固まる前に、新しい火山礫や火山灰が降り注ぎ溶岩流をおおいました。溶岩はまだ熱かったので、そのすぐ上とすぐ下の火山礫や火山灰層は、溶岩の熱で焼かれて赤くなりました。
ここでは、溶岩と火山礫・火山灰層のできた順序がよくわかります。溶岩におおわれている層とおおっている層は、溶岩をはさんでほぼ連続的に積もっています。このことは、火山礫・火山灰を噴き上げる噴火と溶岩を流す噴火がほぼ同時に起きたことを示しています。
【溶岩流】
溶岩の表面や断面は、まるで中の瓦が砕かれているようです。溶岩流は、この砕かれた破片を引きずりながら、表面が割られ外部へと押し出されていきます。 砕かれた岩石は「クリンカー」あるいは「アア溶岩」と呼ばれ、溶岩流のなめらかな溶岩のまわりにある場合、「瓦礫状(がれきじょう)溶岩」です。まさに、この流面は溶岩が流れた際の状態をそのまま示しています。
【噴火柱と地層】
マグマが地表へ向かう途中でマグマ中のガス成分が急に気になってふくらむと、マグマはくだけて火山礫や火山灰となって噴き上げられます。これは爆発性と呼ばれています。上昇する力がなくなると噴煙柱は重力に従って風下に向かって広がっていきます(降下)。そして、噴煙から降り注いだ火山礫や火山灰は地表の凹凸に合わせて、きまって層をつくります。
【伊良尾火山の噴煙の立ち上がる様子と溶岩のでき方】
マグマが地下から地表へと上昇すると、圧力に耐えきれなくなり、ガスが爆発。
噴煙柱は高く上がり、伊良尾山から四方へ広がり、風下へと流れる。
勢いをつくった爆発の勢いが弱くなると、山体から、ねばり気の少ない溶岩が噴出する。
噴煙からゆっくりと降り注いだ火山礫や火山灰の上に溶岩が。
溶岩が流れた後でさえ、また噴火により新しい火山礫が降り積もる。
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スコリア丘から大量に流れ出した溶岩流と溶岩流に運ばれてきたスコリア丘の破片
Voluminous lava issued from the base of the scoria cone. Moving lava broken a part of the scoria cone, and carried the blocks of the scoria cone (scoria rafts) on it. Lava and scoria rafts were rapidly covered by the fallout lapilli and tuff layers.
解説本文
伊良尾火山のスコリア丘のすそ野から大量の溶岩が流れ出しスコリア丘の一部を壊してしまいました。壊されたスコリア丘の破片は溶岩流の上に浮かんで、ここまで運ばれてきました。このスコリア丘の破片はスコリアラフトと呼ばれています。ラフトとは英語で「いかだ」という意味です。
スコリアラフトはすでに噴煙から降り注いだ火山礫・火山灰層におおわれてしまいました。右側でみた溶岩流には大きな穴(気孔)がたくさんありましたが、ここの溶岩流にはほとんどありません。溶岩の中にガスがほとんど溶け込んでいなかったか、溶岩の上に乗っていたスコリア丘の破片の重さで溶岩に溶け込んでいたガス成分が泡になれなかったのかもしれません。
ストロンボリ式噴火とスコリア丘
マグマのしぶきが花火のように噴き上がるストロンボリ式噴火でできたすり鉢状の地形を「スコリア丘」といいます。
阿武火山群のスコリア丘(笠山): 萩を代表する小さな火山。
伊良尾火山のスコリア丘(中山・佐古): 給食センターの裏手にあるもので、浸食されて形が崩れています。
溶岩流に運ばれてきたスコリア丘の破片(スコリアラフト)
スコリア丘ができている途中でまた新たにマグマが上昇してくることがあります。マグマはスコリア丘をつくっているスコリアや火山礫よりも重いので、火口まで上昇することができずスコリア丘のすそ野から周囲に流れ出します。
その時にスコリア丘の一部を壊されて溶岩の上に浮んで運ばれていきます。その結果、スコリア丘には馬のひづめのような凹地ができることがあります。溶岩に浮んで運ばれたスコリア丘の破片はスコリアラフトと呼ばれています。

有難い説明看板その5
以下抜粋
壊したスコリア丘の破片をのせた溶岩の流れが止まり、溶岩はスコリア丘の破片とそれらをおおっている火山礫・火山灰層にも不規則な形で貫入した
Molten lava intruded in the blocks of the scoria cone (scoria rafts). Lava with scoria raft ceased and was covered by the new fallout lapilli and tuff layers. However, the lava front still injected in the layers.
【解説本文】
伊良尾火山のスコリア丘のすそ野から大量に流れ出した溶岩は、スコリア丘の一部を壊してしまいました。壊されたスコリア丘の破片は溶岩の上に浮かんでここまで運ばれてきました。このスコリア丘の破片はスコリアラフトと呼ばれています。ラフトは英語で「いかだ」という意味です。スコリアラフトはすぐに噴煙から降り注いだ火山礫・火山灰層におおわれてしまいました。ここではさらに複雑な現象を観察できます。新しい火山礫・火山灰におおわれた溶岩はまだ熱く柔らかかったので、先端部分は後から流れてくる溶岩に押されて、運んできたスコリア丘の破片だけではなく火山礫・火山灰層の中にも不規則な形で入り込んで(貫入)います。このことは、これらの出来事が短い時間の間におきたことを示しています。
スコリア丘から大量に流れ出した溶岩とそれに運ばれてきたスコリア丘の破片(スコリアラフト)
この観察場所より東側には約100mにわたり溶岩が観察できました。それらは、その上に浮かんでいるスコリア丘の破片(スコリアラフト)の中にも不規則な形で入り込んでいます。ここの溶岩は伊良尾山から東側に流れた溶岩の北の端であり、溶岩はさらに南や東に広がっています。また、溶岩とスコリア丘の破片が接触している所では、溶岩の熱によってスコリア丘の破片の中のスコリアの表面が再び溶け、それらがくっついていることがあります。
スコリアラフトのでき方
スコリア丘ができている間やできた後に、マグマが上昇してくることがあります。マグマはスコリア丘をつくっているスコリアや火山弾よりも重いので、火口まで上昇することができずスコリア丘のすそ野から地表に流れ出します。その時にスコリア丘の一部は壊されて溶岩の上に浮かんで運ばれていきます。その結果、スコリア丘には馬のひづめのような凹地ができることがあります。溶岩に浮かんで運ばれたスコリア丘の破片はスコリアラフトと呼ばれています。
伊良尾山の東側の溶岩台地
伊良尾山の東側には、スコリア丘のふもとから流れ出した大量の溶岩が台地をつくっています。現在地は溶岩台地の北の端であり、現在地で観察できる溶岩は溶岩台地のほんの一部です。

有難い説明看板その6
以下抜粋
地層から伊良尾火山のでき方(形成史)がわかる
Eruptive history of Irao Volcano – The sequences of eruptive products provide a rich repository of information on past volcanic events.
この地層の積み重なりからわかった伊良尾火山のでき方(形成史)
① 伊良尾火山の噴火が始まる前のこの地域の大地は、約1億年前にはアジア大陸の東側にあった軽石や火山灰が固まってできた岩石(凝灰岩)でできていました。
② 今から約40万年前、現在の伊良尾山の近くで、上昇してきた玄武岩マグマが地下水と触れて水蒸気マグマ噴火がおこりました。大地をつくっていた凝灰岩や噴火をおこした玄武岩マグマは粉々にくだかれて火口から空中に噴き上がり、横方向にも流れていきました。この場所では、向かって右下側に傾いた地面に平行に凝灰岩や玄武岩の粉が降り積もりました。
③ 続いて、火口から噴き上がった火山礫・火山灰がその上に降り注いで、水蒸気マグマ噴火でできた地層と平行に積もりました。火口周辺ではマグマのしぶきが噴水のように噴き上がるストロンボリ式噴火でできた穴の多い石(スコリア)や火山弾が降り積もってプリンのような形をしたスコリア丘ができました。
④ その後、スコリア丘のすそ野から大量の溶岩が流れ出し、スコリア丘の一部を壊しました。溶岩流は、スコリア丘の破片をのせてここまで流れてきて、すでに降り積もっていた火山礫・火山灰層とぶつかりました。その結果、ここには谷のような地形ができました。
⑤ その後も火山礫・火山灰が降り注ぎ、新しくできた谷のような地形に平行に積もりました。時々、その上に小規模な溶岩が流れてきて火山礫・火山灰層をおおいました。しかし、溶岩はすぐに新たな火山礫・火山灰層におおわれました。このようなことを繰り返して、現在見えるような地層ができました。


