魚切

世間は土曜日を含めて3連休となっているが、丁度大きなオペレーションが始まった為に土日は出勤となり、3日=文化の日の1日しか休みが取れず。

3日の午前中は前日の疲れであまり動く気分になれず、午後になってノコノコ出かける。
向かったのは以前から気になっていた場所で、世羅町の山田川の下流にある「魚切」という滝。
世羅の魚切については、広島県の河川整備計画 の中の、7ページ(3)の項目に

丘陵地を流れる山田川(世羅町(旧甲山町))下流部には「魚切の滝」、綾目川(尾道市(旧御調町))には甌穴(水の流れにより何万年の年月を経てできた円筒形の穴)等の名勝地があります。

という記述があり、国土地理院の地形図にも、山田川の別迫から伊尾に至る区間で2ヶ所の滝マークが確認できる。

ということで、世羅町別迫から山田川沿いに県道56号線を進んでいく。
この区間は未改良の大変な悪路なので運転には注意を要する。

上流側の滝マーク付近の県道56号線。
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路面への落ち葉の積もり方といい、地元の方々の生活道とはみなされていない「見放された道路(同区間に広域農道がある為)」といえるが、これでも対向してくる車2台に遭遇。離合に大変な苦労を強いられた。

ここを通りたい物好きな男は私以外にもいるということか。
「物好きな私」は滝マークの箇所に向かって険道56号線を進む。

道路から見える一つ目の滝。
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山田川にある2つの滝マークのうち、上流(別迫側)にある滝。
付近の県道がやや広めになっているのが救い。

この先も未改良の険道は続く。
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行く手の道路状況が不安だが、もう一つの滝マークに向かう。

2つ目の滝マーク付近
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道路が大きくカーブする付近に滝を発見。

滝付近の道路から見た図。
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障害物が多いが、立派な滝であることはわかる。
正面から見えないか、少し下流に進む。

樹間から見える滝。
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相当なピンボケだが、数枚撮った中でこれが一番マトモに写っていた。
実際に見ると、幅広でなかなかの滝であることがわかる。

井伏鱒二の「黒い雨」の8月11日の記述の中で、重松一家を焼跡から探しに小畠村から義理の兄二人が来るシーンがある。彼らが広島に向かう道中

渡辺と高丸は蘆田川の渓流に沿う坂道を二時間あまり歩いて下り、魚断淵(うおきりのふち)というところまで行くと木炭動力の空きトラックが来たので、頼んで便乗させてもらった。

とある。
この魚断淵こそ、山田川の魚切ではないだろうか。

※2015/3/13追記
小畠村からの歩行時間からすると、むしろ豊松の魚切の滝の方が辻褄は合う。しかしこちらは芦田川ではなく高梁川水系の滝になる。
この黒い雨の記述にはいずれにしても辻褄の合わない点があるようだ。

今回は残念な写真ばかりとなり、魚切という滝の概要を調べるだけの結果とあいなったので、再度来ないと納得がいかない。
県道の未改良区間と共に地域から忘れられたような印象の場所と滝だったが、予想以上に立派な滝だけに惜しまれる。