大久野島
この日は、ふとしたことから大久野島に行くことになった。
高速を河内インターまで行き、国道432号を南下、海沿いに国道185号と走って、忠海(ただのうみ)港に着く。
大久野島は、厳島や大崎上島と並んで、広島県では数少ない船でしか行けない島なので、まずフェリーの乗船切符を買う。
今更私が説明するまでもないだろうが、他県の方々の為にあえて説明させていただくと、大久野島は竹原市の沖にある瀬戸内海の島で、戦時中は軍が秘密裏にこの島を軍事拠点化し、ここで毒ガスを製造していた。
今も島には当時の遺構が残っている。
戦後は当然ながら毒ガスなど製造されないから、大久野島は瀬戸内海国立公園の一部として、海水浴やキャンプなど、休暇村をメインとしたリゾートアイランドとなっている。
大久野島について、上記のことについては私も随分以前からわきまえていた。
ところが近年さらなる”プラスα要素”により訪問者が増え、休日ともなるとフェリー待ちが発生するという。
という訳で、我が広島県でありながら今まで未訪問であった大久野島に、今回来る機会を得た。
忠海港(竹原市)
フェリーの切符売り場と土産屋を兼ねた、新しくモダンな建物がある。
近年の観光客急増によって儲かっているのだろうと推測できる。
ここでは、島に渡ってからでは入手できないものを売っているので、興味のある場合は購入しておく必要がある(後述)。
桟橋から望む黒滝山。
忠海の市街地の背後にある山。
10:25に船が忠海港を出港。
予想していた通り船はほぼ満員だったが、日曜ならもっと激しく混雑したに違いない。
15分で船は目的地・大久野島に着く。
忠海から乗ってきた船。
フェリーとは元来英語で”渡し船”のこと。ゆえに車輛を航送できないが、フェリーと呼んでも差し支えない。
愛媛から来られる方は、大三島の盛港から大三島フェリーで大久野島にアクセスするのが良いだろう。
大久野島に上陸。
フェリー乗り場からシャトルバスが休暇村までピストン運行している。
ちなみに大久野島には民家はなく、休暇村大久野島の従業員の方を除くと定住者はいないとのこと。
上写真のカシミール画像。
見えているのは高根島(左)と生口島(右)どちらも尾道市に属する、しまなみ海道沿いの島。
前述のプラスα要素に上陸間もなく遭遇。
現在、大久野島には約700羽の野生のウサギがいて、島内のあちこちで見ることができ”ウサギの楽園”となっている。
この島がかように有名になったのは、10年以内の話。
近年のネット社会の拡大で、海外にまでこの島が”ウサギの島”だという情報が広まり、観光客が激増した結果、フェリー会社が潤い、忠海港の建物が立派になったようだ。
直近10年あまりでこの島の”プラスα要素”は、島という特殊な環境下で急激に生息数を増やしたものと思われる。
島の海岸沿い。
海の水がとても綺麗だ。
対岸に見えているのは愛媛県の大三島(今治市)。
本土と大三島の間に大久野島があり、大三島を北から見ている位置関係になる。
西の方向を見た図
沢山の島々が見える瀬戸内海特有の風景があります。
カシミール画像で補足。
中央にどっしりと大崎上島。右に上蒲刈島(七国見山)。白岳山は本土側・呉市の山。
休暇村に向かって移動しながら、島の主役を撮影。
ちなみにだがウサギの餌は大久野島では調達不可なので、餌やりをしたい人は忠海のフェリー乗り場でゲットしておく必要がある。
群がるウサギ達。
元来は臆病な弱い動物なのだが、ここのウサギは人が来ても逃げる様子は無く、餌に群がってくる。
分類上はアナウサギという種類になる。
日本固有のウサギとは種類が異なり、外来種とのこと。
地元の小学校で飼われていた8匹のウサギが島に放され、40年以上の歳月を経て、現在のように700羽を超す生息数になったという説がある。
休暇村大久野島
かつて毒ガスが製造されていたからだろうが、島で使われる水は、プールの水を含めて全て島外から運ばれているとのこと。
例外は地下深くから汲み上げられる休暇村の温泉のみ。
ちなみにだが、後方に見えている送電鉄塔は、高さ226mと日本一の規模を誇るそうな。
休暇村前の広場で、ウサギ達の餌を横取りしようと暗躍する小さな物体。
その姿を見ることすら難しいので、ドブネズミを撮影するのは初めてだった。
休暇村で軽く昼飯を食べたら、フェリー乗り場に向かって来た道を引き返す。
残った餌を道々で配りながら行く。
ニンジンとか好きそうな野菜を家で準備してくるのも良いだろう。
大久野島に2本ある巨大な送電鉄塔。
本土側の竹原火力発電所と大三島を繋ぐ送電線の鉄塔らしいが、写真に撮ろうとすると大きすぎて上部しか写すことが出来ない。
帰路は車輛航送も可能なカーフェリーに乗って忠海に戻った。